少子高齢化に伴う人口構造の変化は、先進国だけでなく、開発途上国においても深刻な問題になりつつあります。基礎疾患として非感染性疾患(以下「NCDs」という。)を有する高齢者の増加は、医療・福祉の需要増大を招きます。また、生産年齢人口の減少は、労働市場の縮小、経済成長率の低下を招くことにもなります。さらに、高齢者に優しいまちづくりの推進など、国の発展は人口構造の転換、つまり高齢化社会を前提としたものになります。
日本は、高齢化率が 2021 年時点で 28.9%(内閣府「令和 4 年版高齢社会白書」)と、世界で最も高齢化が進んだ国の1つであるとともに、欧米に比べて短い期間で急速な高齢化を経験したという特徴を有しています。アジアや中南米地域を中心に、今後、日本と同じ、もしくはそれ以上のスピードで人口高齢化が進むことが予測されている国が多数あり、本分野において、日本の経験が開発途上国に活用されることが期待されています。
こうした状況下、JICAは「課題先進国」である日本の経験を活用した協力を展開すべく、社会保障制度の構築を念頭に置いた高齢化を支える政策の策定支援や、介護サービスモデルの構築、高齢化ケア人材の育成等、2000年代半ばから、開発途上国の高齢社会対策への支援を実施してきました。近年は、技術協力プロジェクトに加え、草の根技術協力事業や民間連携事業、JICA ボランティアを通じた高齢社会対策支援も実績を重ねています。特に 2021年度からは、JICA 内のナレッジマネジメントネットワーク3として「高齢社会対策サブネットワーク」を設置し、当該分野の知見の蓄積・発信を強化しつつあります。また、開発途上国においてNCDsの疾病負担が増えており、日本の経験を活かした協力展開のため、JICA 内に「NCDs サブネットワーク」を据え、さらなる知見の蓄積・発信が求められています。
本件業務は、高齢社会対策及び NCDs 分野における課題情報の収集・分析、ナレッジマネジメントネットワーク活動支援、外部・内部向け情報発信等を通じ、JICA の当該分野における課題対応能力を強化することを目的として実施されています。
当社は、他のパートナー会社と協力してコンサルタントチームを結成し、上記目的を達成するためJICAのイニシアティブとその実践に協力しています。