プロジェクト紹介/現場レポート

  • 保健医療
  • 2021年02月 ~2021年03月
  • 評価業務
【メキシコ、国内】
「コミュニティを基盤とした高齢者の包括介護プロジェクト」詳細計画策定調査

メキシコでは、高齢者人口の増加に伴い2020 年に高齢化社会(9.8%)、2040 年には高齢社会(19.5%)を迎え、高齢者人口は現在の2 倍になると推察されている(国立人口審議会統計資料2015)。介護が必要な高齢者(以下、「要介護者」)の人口は約300 万人と推計され、また全国に約1,200 の介護施設が存在するが、高齢者の入居割合は約1%であり、介護の殆どが家族により行われている。その要因は、介護施設の大半が民間の運営で、高齢者とその家族の多くは、施設の入居費用を捻出できないためである。また農村部からの人口流入による都市化や所帯状況の変化(核家族化、独居老人あるいは高齢者のみの世帯の増加)に伴い、家族の介護力の低下や少子化、更には介護の担い手の減少により、家族の介護疲れが社会問題化している。

かかる状況下、保健省や社会保険庁等の公的機関や民間企業にて介護サービス・支援を提供しているが、在宅介護を念頭に置いた活動はなく、質の確保されたサービスが提供できていない状況にある。そのため、在宅介護を行う介護従事者の能力強化を通じて介護サービスの標準化と拡充を図り、また要介護のリスクがある高齢者に対しては、日常生活で必要な身体機能の維持・改善ができるよう予防活動(健康増進活動)を通じた支援を行い、これら活動をコミュニティで支えていく仕組み(医療、福祉セクター、行政、住民同士の連携)の構築支援が求められている。

JICAは、同国において対象地域を定め、要介護者に対するサービス・支援の質が向上するよう、コミュニティを基盤とした包括介護サービス・支援モデルの構築を念頭においたプロジェクト計画を策定した。今回、詳細計画策定調査を実施し、先方政府や関係機関への聞き取りを経て必要な情報を収集・整理・分析し、また協力計画を策定し、プロジェクトの事前評価を行うことを決定した。

当社は、事前評価を目的とする当該調査に職員が従事し、対象国であるメキシコとの密なコミュニケーションを通じて多岐にわたる情報を収集し、また分析を行い、調査結果をまとめ、関係者と共有し、報告書を作成するとともに、協議議事録の作成に協力した。

一覧に戻る