2014年、シエラレオネはエボラウイルス病(Ebola Virus Diseases: EVD)の災禍に見舞れたことで、保健システムは大きな打撃を受け、PHU(地域保健施設)や県病院を中心に、保健医療サービスの提供能力は短期間で大幅に低下した。妊産婦検診、拡大予防接種プログラム、栄養、十代の妊娠対策など、住民は通常の保健医療サービスを適切に享受することが困難になった。同国政府は開発パートナーの支援を受け、緊急対策と、その後の復興計画の施行に尽力し、母子保健、感染症・疾患対策、環境衛生、エボラ疾患の生存者に対するケアを含む保健システムの包括的な復興と強化に取り組んだ。JICAは、分野横断型介入であるISSV(包括的支援型監理システム)* を用い、エボラ復興計画に係る活動の進捗を包括的に観察・監理する役割を担った。そして、2017年6月に復興計画が終了した後も、国家保健セクター戦略計画(NHSSP 2017-2021)の中に、同計画のM&Eの一環としてISSVが組み込まれた。
シエラレオネ国の保健衛生省は、ISSVの継続的な実施を目指しており、他支援機関予算の活用承認を取付け、実施予算を確保したが、技術的には課題抽出・分析能力の更なる強化、課題解決のための案件形成・資金獲得のための関係政府機関・支援機関との連携等改善の余地も大きい。
こうした背景の下、シエラレオネ政府は、現在までの協力実績と先行技術協力プ ロジェクトでの成果をより強固なものとし、さらに、ISSVシステムの定着を促進することを目的に、日本政府に対し、包括的サポーティブ・スーパービジョンアドバイザーの派遣を要請し、(当社がJICAから本件業務を請け負い)継続的な技術支援を行っている。