内戦終了後間もないシエラレオネ国(以下「シ国」)は、世界で最も母子保健指標が低く、感染症も含めた保健指標の改善が急務とされていた。そして2010年以降母子保健サービスが無料化され、政府や国際援助機関による集中的な投入が行われていた。それにより、全国13州の保健マネージメントチーム(DHMT:District Health Management Team)やその指揮下にある末端の診療所(PHC:Peripheral Health Center)においても、新規保健人材の配置、既存人材の研修、施設や機材整備、患者へのサービス提供の質の改善、保健情報の収集・報告活動強化など、大きな変革に迫られていた。一方、保健衛生省による中央‐県‐末端の診療所を統括するモニタリングシステムは未だ確立していなかったため、シ国政府はJICAに対し、中央から各県に、県からPHCに対し、それぞれ統一された方法で管理・指導・サポートを行い、必要な保健情報がPHC⇒県⇒中央へと確実に収集されていくための組織体制の構築を目的とした専門家の派遣を要請した。当社は保健システムの専門家をシ国保健衛生省に派遣し、「保健分野の統合的スーパービジョン」システムの確立に貢献した。