パレスチナ自治区の保健状況は、過去20年の間に非感染性疾患(NCD)に起因する死亡が多数を占めるようになり、感染症や母子保健関連疾患の死亡者数を上回るなど、疾病構造に大きな変化が見られている。そこでパレスチナ政府は、「NCDの予防と治療に向けた国家戦略(2017-2022)」を策定し、早期発見・治療、及び患者中心の質の高い継続的なヘルスケアの実現を目指し、横断的、包括的な取り組みに着手した。さらに、それを可能ならしめるためのガバナンス強化、予防活動の推進(糖分、塩分、アルコール摂取の抑制、運動の症奨励等)、サーベイランス及びモニタリング評価活動の強化、ヘルスケア及び保健システムの強化を4つの柱に掲げている。本年度はこの基本戦略に従い、WHO支援の下、PENやスクリーニングに関する保健人材トレーニング、喫煙抑制や運動奨励のためのキャンペーン、サーベイランスの強化、電子データによる保健情報管理システム強化等が計画、実施されていた。本件調査は、こうした非感染性疾患対策の現状を確認、分析し、報告書にとりまとめることで、その後の事業計画の立案プロセスに大きく寄与した。