途上国では、就学率が急速に改善している国々がある一方、2.63 億人の学齢期の子どもが就学しておらず(UNESCO、 2017 年)、6 億人を超える子どもが最低限の読解・算数スキルを身に着けていない「学習の危機」と呼ばれる状況が発生しています(世界銀行、2018 年)。さらに、2020 年に発生した新型コロナウイルス感染症の蔓延による学校閉鎖や家庭の経済状況の悪化等を通じ、最低レベルの読解・算数能力を身に着けていない子どもの割合は 25%増加したと推計されています(世界銀行、2020 年)。 当事国、援助国がこれらの課題に取り組むにあたっては、子どもの学習環境を整えることや、適切な学校運営の実現が重要であることが指摘されています(世界銀行、2018 年)。特に、学校運営と関連して、コロナ禍の下では、児童や保護者を介して、衛生啓発活動の実施を通じた正しい知識の伝播、 行動変容の促進等、教育分野の枠を超えてコミュニティのセーフティネットとして、学校が果たす役割に大きな期待が寄せられました。
JICAは、アフリカ地域の複数国においてコミュニティと学校の協働により様々な教育関連課題を解決することを目指す、通称「みんなの学校」プロジェクトを展開してきました。学校運営や学習改善をはじめ、教育課題緩和のために大きな成果を挙げてきた同プロジェクトは、教育改善モデルの比較優位性や国際的なエビデンスを有しています。
当該案件は、複数の地域に関する研究を通じて、同モデルがコミュニティの教育課題の解決に貢献するだけでなく、平和構築、ジェンダー等、マルチセクターに跨る課題解決に資する可能性を調査・分析し、同モデルの更なる普及・発展の可能性を検討することを目的としています。また、中長期的な視野を持ち、コミュニティ協働型教育改善モデルをアフリカ地域及び他地域に展開すること、そして同モデルの主流化のための具体的な方法を検討することも目的としています。
当社は、様々なパートナーの協力を得て、多分野にコンサルタントを配置し、同研究が十分な成果を上げられるよう当該案件を運営、管理しています。